#5-2 山、滴る。Yohakuとともに山の夏やすみ

yohaku コラム

高山植物の宝庫、白山。山小屋「南竜山荘」に2泊して、時間帯や気候によってかわる植物の様子をじっくりと観察しました。小屋が主催する「自然観察会」にも参加。「インタープリテーション」とも呼ばれ、植物の名前や特徴だけではなく、自然の姿の裏側にあるメッセージを伝える趣旨があります。
最初に参加した会は、1日目の夕方16時から。
次の会は、2日目の朝5時から。
山小屋のそばの登山道やテント場を、インタープリターの方と一緒に歩きます。


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yohaku コラム さまざまな種類がからまりあうように咲いています。「植物にとっても、縄張り争いは存続のために大切なこと。細長いかたちの花は、花粉をとるために虫が潜り込むでしょう。いかに虫にたくさんの花粉をつけさせるかで、そんなかたちになったんです」

yohaku コラム 山頂直下は遠くから見ると荒涼とした岩場に見えるけれど、その下にはまるで風を避けるように咲く高山植物の姿が。「これはイワギキョウ。風の強い過酷なところでもしっかりと根を張り、群生する。可憐な見た目に対して、かなりタフなんです」

yohaku コラム パッと目を引くオレンジ色の花。ニッコウキスゲの名前で知られるけれど、本当は「ゼンテイカ(禅庭花)ということを初めて知りました。朝咲いて夕方には萎んでしまうことから、英語では「Day Lily」。花言葉は、「日々あらたに」。

yohaku コラム 白山の名前がついたハクサンボウフウ。これも中部以北の多くの山で見られる植物。

yohaku コラム 白山の代表的な花、クロユリ。白山国立公園指定30周年のシンボルマークにもクロユリが描かれています。クロユリは染料にもなり、石川の伝統工芸、牛首紬を染める染料としても使われてきたとか。

yohaku コラム 背の低い品種が多い中で、背が高く目につきやすいのがコバイケイソウ。数年に1度しか咲かず、いつ咲くのか、その周期は予測不能。この写真はまだ蕾の状態で、これから8mmほどの花が円錐状に咲く予定。

yohaku コラム いちごの花のようなミヤマキンバイ。ミヤマは高い山、キンバイ(金梅)は、梅の花に似ていて黄色だからこの名前に。シナンキンバイソウとも。葉は紅葉し、秋には草もみじが楽しめます。

Yohakuのプロダクトは、植物由来の香料を使っていることもあって、つい鼻を近づけてしまいますが、クロユリなどは見た目と香りのギャップに驚くものも。
「高山植物は独特の香りのものが多いんです。虫にはその匂いがたまらないんでしょうね」
インタープリターと一緒に歩くからこそわかる植物、自然の姿でした。

yohaku コラム ジャパニーズミント yohaku コラム ジャパニーズミント

山小屋でもジャパニーズミントのオイルは密かに活躍しました。相部屋で大勢の登山客と一緒になるため、大きく香らせることはNG。枕にカバーがわりに敷いた手ぬぐいに数滴垂らそう、と持参したのですが、思いのほか香りの効果を感じたのが、夜中のことでした。

山小屋は消灯が20時半。お酒を飲んだりしゃべったりもできず、携帯電話もつながりません。真っ暗ななか、眠れない時間をじっと過ごすのもつらいもの。枕元においていたボトルのふたをあけて、すっと香りを吸い込みます。深呼吸を繰り返し、ひたすら呼吸に集中する。そうすると、いつの間にか眠気がよせてきて、寝苦しさが軽くなるのです。

構成・文: 柳澤智子(柳に風)
撮影:宮濱祐美子